被害者に対するネガティブな社会的反応

背景

何らかの被害(災害や犯罪など)に遭った人に対して周りの人がどのように反応するかを測定するために作成された尺度です。英語版で作成されたオリジナルの尺度(Ullman, 1996, 2000)では「スティグマ」「回避」「支配」「被害者非難」「自己中心的」の5因子構造でしたが、翻訳の際に新たに「詮索」因子を追加し6因子構造としました。また、原版では項目数が多いため、各因子の上位3つを抽出して項目数を減らしました。

教示文

もしあなたがAさん(被害者)の友人で,Aさんからこの事件の話を聞いたとしたら,あなたはAさんに対して以下のようなことをする可能性がどのくらいあると思いますか。「非常に低い」~「非常に高い」の中から当てはまる選択肢を選んでください。

(この教示文を提示する前に、強制性交・準強制性交のシナリオを提示しました)

選択肢
  • 非常に低い
  • 低い
  • どちらとも言えない
  • 高い
  • 非常に高い
項目内容(18項目)
因子名項目
スティグマ
stigma
(3項目)
はれ物扱いしたり,以前とは違った形で接したりする
距離をとる
この事件のことを伝えられる前とは違った形で接する
回避
distraction
(3項目)
この事件について話すのをやめてほしいと言う
この事件について考えるのはやめてほしいと言う
一この事件について考えるのをやめた方がいいと伝える
支配
take control
(3項目)
その人の代わりに何かを決めたり,物事を進めたりする
その人がしたことや決めたことについて口出しをする
その人の気持ちが(よく分かっていなくても)分かると言う
被害者非難
victim blame
(3項目)
この事件が起きないようにできることがあったはずだと言う
責任感がないとか不注意だったと言う
この事件の責任はその人にあって,みっともないことだなどと言う
自己中心的
egocentric
(3項目)
自分を抑えられないほど,加害者に対する怒りをあらわにする
この事件について聞いて,自分が何か間違ったことをしたような気分になったと言う
その人以上に加害者に対する感情をあらわにする
詮索
intrusiveness
(3項目)
どのようなことをされたのかを細かく知りたいと言う
この事件の際,どのように感じたのかを詳しく尋ねる
その人と加害者の関係について詳細に聞く
出典
  • Mukai, T. & Watamura, E. (2022). Comparing Negative Social Reactions to Sexual and Non-Sexual Crimes: An Experimental Study with a Japanese Sample. International Criminology. doi: 10.1007/s43576-022-00074-x
  • Ullman, S. E. (1996). Social reactions, coping strategies, and self-blame attributions in adjustment to sexual assault. Psychology of Women Quarterly, 20(4), 505–526. doi: 10.1111/j.1471-6402.1996.tb00319.x
  • Ullman, S. E. (2000). Psychometric Characteristics of the social reactions questionnaire: A measure of reactions to sexual assault victims. Psychology of Women Quarterly, 24(3), 257–271. doi: 10.1111/j.1471-6402.2000.tb00208.x
尺度を使用している論文
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