刑罰の正当化根拠尺度(JPS)

背景

何を刑罰の正当化根拠(≒刑罰目的)と考えるかに関する態度を「応報」「復讐」「一般予防」「改善更生」「隔離」の5因子から測定する尺度です。

教示文

犯罪が行われると、それを犯した人に対して罰金などにより財産を奪う、刑務所などへの収容により自由を奪う、また場合によっては死刑により生命を奪うといった刑罰が科されます。このような受ける人にとっては苦痛である刑罰が存在する理由は何でしょうか。以下には、刑罰が、なぜ・何のために存在するかに関する文章が書かれています。それぞれの文章は、あなたの考えにどの程度当てはまりますか。「全くそう思わない」から「とてもそう思う」の中から1つ選んで回答してください。

選択肢
  • 全くそう思わない
  • そう思わない
  • どちらとも言えない
  • そう思う
  • とてもそう思う
項目内容(24項目)
因子名項目
応報
(6項目)
行われた犯罪に対して常に刑罰を科し,正義を実現するため
犯罪行為に対する責任に見合った罰を科すことで,その責任を清算させるため
犯罪に対して刑罰という苦痛を加えて,正義を実現するため
罪を犯すことで法により保たれている社会の秩序を乱したことの見返りとして,刑罰という苦痛を与えるべきであるため
みずからが犯した罪をつぐなわせるため
犯罪行為をしたことに対する非難として刑罰という苦痛を与えるべきであるため
復讐
(2項目)
被害者やその遺族の復讐感情を満たすため
一般の人の処罰感情を満たすため
一般予防
(10項目)
犯罪者を処罰することで,「やはり犯罪はいけないことだ」という人々の規範意識・正義感をより強化するため
犯罪をすれば処罰による不利益をこうむると知らしめることで,人々を犯罪から遠ざけるため
多くの人は,刑罰を受けるくらいなら犯罪を思いとどまる方が良いと考え犯罪を行わないので,それにより犯罪が予防されるため
罪を犯せば確実に処罰されることを通じて,法によって守られているという実感を与え,人々の法を守る心がまえを維持するため
どのような行為が犯罪であり,どのような刑罰が科せられるかを前もって示しておくことで人々の行動を規制し,犯罪を予防するため
犯罪者の処罰を通じて法を守るべきとの考えや態度をはぐくむことで,人々が犯罪しないようにするため
ある行為が法的に許されないと示すことで人々の規範意識を呼び起こし,犯罪を予防するため
犯罪者の処罰を通じて,将来犯罪者になる可能性のある人を犯罪へと向かわせないようにするため
犯罪者を処罰するというみせしめを通じて,人々が犯罪を行うのを予防するため
確実かつ適正な処罰により,人々の法秩序に対する信頼を確保するため
改善更生
(7項目)
刑罰により犯罪者を改善・教育し,再犯を防止するため
刑罰により犯罪者を改善・教育し反社会性を正すことで,社会に適合して生きていけるようにするため
刑罰により犯罪者の犯罪しがちな性質を改善し,二度と犯罪しないようにするため
処罰される犯罪者自身が犯罪をくり返さないようにするため
刑罰を科すことで犯した罪の重さを自覚させ,反省を促すことで再犯を抑止するため
刑罰による犯罪者の更生・社会復帰は,社会にとって意義があるため
処罰を通じて法に従わなければならないという規範意識を目ざめさせることで,犯罪者がふたたび犯罪しないようにするため
隔離
(3項目)
刑の執行により自由を奪い社会から隔離することで,犯罪者から社会を守るため
犯罪者を刑務所に入れるなどし社会から隔離することで,一時的ないし永続的に犯罪を行えないようにするため
刑罰という苦痛を加えこらしめることで,犯罪者の再犯を防止するため
出典
  • 向井智哉・湯山 祥 (2022). 刑罰の正当化根拠尺度(JPS)と短縮版尺度(S-JPS)の作成 実験社会心理学研究, 62(1), 25-37.doi: 10.2130/jjesp.2203
尺度を使用している論文
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